不登校「対策」をやめるべき理由

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NPO法人ターサ・エデュケーション代表理事の市村です。
私たちは2015年7月より「子どもの可能性をフェアにする」をミッションとし、群馬県内で貧困や不登校などの課題を抱える子どもたちの自己肯定感・意欲・社会性を育むため、居場所と学習機会を提供する活動を行なっている教育NPO法人です。それぞれの課題に向き合った5つの活動に取り組んでいますが、フリースクールの運営に代表される不登校支援事業に最も注力しています。

今回の記事ではタイトル通り、不登校「対策」をやめるべき理由について書かせていただきます。

フリースクールこらんだむの所在地である群馬県前橋市では、以下のようなさまざまな不登校対策に向けた取り組みを行なっています。

1)学校現場
学校では未然防止、初期対応、組織的対応を3本の柱とし、取り組んでいます。
未然防止の取り組みとしては、魅力ある学校つくり、わかる授業つくり、望ましい生活習慣つくり。
初期対応の取り組みとしては、関係職員による情報の収集・管理、そして変化への適切な対応。
組織的対応の取り組みとしては、相談部会の充実やチーム支援体制づくり。このような取り組みを校長先生を中心として、担任・養護教諭・スクールカウンセラー等が行なっています。

2)教育委員会
教育委員会では不登校対策として相談対応やさまざまな会議を行なっていますが、主なものとして3つの事業があります。

① スクールアシスタント事業
安心できる関係や場の構築等を目的として、学校の相談室で相談や学習補助等の実施。

② オープンドアサポート事業
保護者との信頼関係づくりや課題共有等を目的として、教師に代わり訪問支援を行い、保護者への教育相談や学校復帰に向けた働きかけの実施。

③ 教育支援教室事業
心の安定を図り、社会的自立や学校復帰を目的として、市内4箇所の施設で、状況に合わせた個別支援の実施。

お読みになりお気づきの方もいるかもしれませんが、
こうした取り組みは、不登校児童生徒を減らすという目的があります。

学校の雰囲気を良くしよう、手厚く、きめ細やかな支援をしようという予防的側面と学校復帰や教室復帰などの治療的側面に分かれますが、共通していることは「学校生活にどのように適応させ、復帰させていくか」という視点です。

学校復帰という視点を持った対策に効果があるのかないなのかはわかりません。
しかしながら事実として、不登校児童生徒数は年々増加しています。これからも増加していくでしょう。

私たちはそろそろ発想の転換が必要な時期になっているのではないかと考えています。
具体的には不登校児童生徒を減らすための対策を考え実行するのではなく、不登校になったとしても、社会的自立に向け子どもが成長できる環境や仕組みを考えていくということ。

少子化が進行する社会。多様な価値観に溢れる社会。

こうした現状を考えれば、どんな環境や状態にある子どももしっかり育て将来の社会の担い手に育てる必要があります。
学校が変わることが難しいのであれば、学校とは異なる教育手法に取り組んでいるフリースクール等の民間施設と連携していく必要があるのではないでしょうか。

学校現場を見れば、不登校児童生徒を減らすために、教員の方々は一生懸命考え、一生懸命働いています。

それはとても尊いことです。

しかし、限られた人員そして教員の多忙化解消が謳われる中、思うような成果が出ないことは先生方の心身を疲弊させてしまう恐れがあり、結果として、学校に登校している児童への教育や支援にも影響を与えかねないと考えています。

「こどもをまんなかに」という言葉の意味をしっかり理解し実践することが政府の掲げる「誰一人取り残さない教育」に真っ直ぐ繋がっていくのではないか、私たちはそう思っています。

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