え、どっちでもいい…

中学校1年生

「え、どっちでもいい…」「いや、大丈夫」

それが彼女の口癖だった。

こらんだむの開所時間になると1番に来所する彼女は、事務所に入ると照れ笑いを浮かべながら、「おはようございます」とあいさつをしてくれる。

初めてこらんだむに来たのは小学校6年生の時。戸惑った様子で入室し、お気に入りのぬいぐるみを抱きかかえて、子どもたちが活動する様子を少し離れた場所から、静かに眺めている子どもだった。

「これ、一緒にやってみない?」そう声をかけると、「え、どっちでもいい…」

「お土産でもらったよ。一緒に食べよう!」と声をかければ、「いや、大丈夫」

何度もこの会話があった。

でもこらんだむの大切な一員。それだけが伝えたくて、声をかけ続ける。

中学校に入学し、学校に復帰した。それから少し経ったとき、彼女はこらんだむに戻ってきた。

どんな表情で来るだろう…と心配する私をよそに、キラキラした笑顔で来てくれた。

中学校でできた友達のこと、部活動のこと。経験したたくさんのことを笑って話してくれる。

そしてこらんだむでの活動に対しても変化が見られた。

初めて来所してきた子どもに声をかけ、サポートをしてくれる。

「こらんだむにいて大丈夫だよ」言葉ではなく、表情でそう伝えてくれている気がした。

日々のプログラムにも、自ら参加しようとしてくれるようになった。

心の充電を経て、少しずつ変化がみられるようになった。

彼女の言葉から、こらんだむに優しさの種がまかれる。そして笑顔の花が咲く。

これからも彼女寄り添いながら、笑顔の花を咲かせていきたい。

 

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